(4)フロン回収破壊法
※ 平成27年4月1日からフロン回収破壊法はフロン排出抑制法に内容・名称変更しました。
一般名称 フレオン(日本ではフロン)で知られる物質は、1928年にアメリカのトーマス・ミッジリー・ジュニアによって始めて合成され、冷蔵庫の冷媒として開発されました。無毒で不燃性に加え安定した物質の上に液化し易いという「夢の物質」とも言われました。フロンは構造式的には、「水素(H)」、「フッ素(F)」、「炭素(C)」、「塩素(Cℓ)」の4つの元素の組合せによって、三つのグループ
- クロロフルオロカーボン (CFC=Chloro Fluoro Carbon)
- ハイドロクロロフルオロカ-ボン (HCFC=Hydro Chloro Fluoro Carbon)
- ハイドロフルオロカーボン (HFC=Hydro Fluoro Carbon)
からなります
各々のグループにも各元素の付き方によって種類が表1のように多くあります。また、混合物で使用される場合もあります。主に冷媒、洗浄剤、発泡剤、噴射剤などで使用されています。
ところがオゾン層保護のためにモントリオール議定書が策定されて1987年に採択、1989年に発効し、オゾン層破壊物質と言われる特定フロンのCFCとHCFCの2種類の製造・販売を規制しました。この2種類のフロンは塩素を含んでおり、塩素を有することにより極めて安定的な物質となります。それが逆に変化することなくフロンのまま大気中に浮遊することを意味し、オゾン層破壊物質として作用するために問題でした。
特定フロンのCFCについては先進国で1996年、発展途上国で2010年にそれぞれ、全廃と規定され、2010年に世界で全廃されました。残る特定フロンのHCFCに関しては、先進国で2020年に生産終了、発展途上国では2030年までに生産終了することが規定されています。
2023年時点では、まだ半分近くの冷蔵倉庫で特定フロンのHCFCが使用されており、順次自然冷媒(アンモニア、CO2等)への置換を進めています。
※平成27年4月1日からフロン回収破壊法はフロン排出抑制法に内容並びに名称が変更されています。
代替フロンのHFCは、塩素を含んでいなく、主に業務用冷凍庫や家庭用エアコンなどの冷媒として使用されています。HFCは、オゾン層破壊物質のフロンガスの代替物質の代替フロンとして登場し、HCFC削減が進む中、オゾン層保護のために広く使用されてきましたが、地球温暖化が問題となったことから生産量を段階的に削減することが決まりました。
冷蔵倉庫各社は、フロンから自然冷媒への転換を進めています。
表1 特定フロン/指定フロン/代替フロン/ノンフロンの種類と特徴
項 目 | 種 類 | 特 徴 | オゾン層破壊性 | 温暖化 | 国際条約規制対象 | 主な用途 | |
特定フロン | CFC | CFC-11 CFC-12 CFC113 CFC114 CFC115 | 塩素を含みオゾン層破壊の性質が強い物質 | 大 | あり | 対象 | 冷媒・発泡剤・洗浄剤・エアゾール噴射剤などに広く使用されたが生産・輸入全廃済 |
指定フロン | HCFC | HCFC-22 HCFC-123 HCFC-141b HCFC-142b HCFC-225ca HCFC-225cb | 塩素を含むが水素がある為オゾン層破壊の性質は比較的弱い | 小 | あり | 対象 | 冷媒・発泡剤・洗浄剤・エアゾール噴射剤などに広く使用されたがオゾン層保護法に基づき全廃途上 |
代替フロン | HFC | HFC-23 HFC-32 HFC-125 HFC-134a HFC-143a HFC-152a | 塩素を含まず水素を含んだオゾン層を破壊しない物質だが温暖化係数が大きい | なし | あり | 対象 | 冷媒(冷蔵庫、業務用低温機器、カーエアコン、ルームエアコン等)・発泡剤・洗浄剤・エアゾール噴射剤 |
ノ ン フロン | HC | R-600a (イソブタン) | 炭素と水素からなる炭化水素でオゾン層を破壊しない物質 | なし | 極小 | 非対象 | 冷媒(冷蔵庫、冷凍ショーケース等) |